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「古民家」といえば、「山奥の大きな農家の家」風を連想する
ミーハーなminamiとaibon。

そのお宅は意外にも、駅からも程よく近い昔からの住宅街の一角にありました(苦笑)。

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まず、目に入るのが「黒い土壁」 
これは「大津磨き」といい、8人の左官職人さんが一斉に磨き上げたのだそう。 
とても手間ヒマかかる工法なのだそうです。

 

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カラカラと引き戸を開けて
玄関に入ると
外壁とは違った土壁。
古材と新しい材が 
バランスよく使われています。

なんといっても、この家の見所は 
「下駄箱」と設計の小倉さん。
実はコレ、古い梯子状の階段。
だから靴は斜めに入れます。
(奥行きが少なくて済むのです。) 
アイデアですね~♪

 

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玄関土間から見えるキッチン。 
天井高が昔の家の通り低く抑えられています。
かえって落ち着いた雰囲気です。 
梁もとても立派な古材。 
天井にある照明は障子を再利用しています。 
玄関から見えるキッチンというのは、敬遠されそうですが、
このお宅は、生活観あふれたキッチンに見えないので良い感じでした。
コレも、歴史ある落ち着いた古材のなせる雰囲気だからでしょうか。

 

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キッチンは水に強い
タデラクトという左官仕上げ。
渋い赤色は、「おくどさん」を 
イメージした色なのだそうです。
後ろの水屋は、

納戸にあった箪笥?を 
奥行きを縮めて再利用。
ダイニングテーブルは床板を利用。

洗面所のシンク前の飾り棚も
キッチンと同様の左官仕上げ。
触ってみると、
左官仕上げとは思えない
タイルのような肌触りでした。
見た目も優しい感じです。

 

場所ごとに違う壁の左官仕上げ。
なんともいい雰囲気を出しています。
【蒼築舎】の松木さん作だそうです。

 

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天井を低く抑えたダイニングの隣は
吹き抜けのリビング。
階段は、とても大きいのですが 
空間が大きいので違和感はありません。

昔の梁をみせています。
コレが古民家の醍醐味でしょうか。
立派な梁、色合い、新しいものでは
出せない風格です。

 

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2階は高い天井を活かした
子供室。 
10メートル以上の梁が 
使われていました。
すご~く長いです。

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子供室の隣の寝室。
船底天井を左官仕上げで
可能な限り丸くしたそうです。
穴ぐらに入った感じで 
とても落ち着きます。
障子は建具屋さんの
自信作。

リフォーム前の写真を見せていただきましたが
今とは全然違う普通の外観でした。
なのに立て替えではなく、改修工事を選んだのか、お伺いしました。

 

元々この家はお施主様のおじい様が建てられたそうで 
築70年が経つそうです。
おじい様は名工といわれた大工だったそうで 
それを知っていたお施主様は 
まったく「立て替え」ということを考えなかったそうです。

 

古い物の価値を知っていたからこその決断でしょう。

 

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設計の小倉さんは、はじめに基本設計を立て
定期的な職人さんとの打ち合わせで
発掘された古材を利用したりするそうです。

 

建てていくうちに、「もっとこうしたほうがいい」という職人のさんの意見を
どんどん取り入れて家が作られていくそうです。

 

このレポートでは、紹介しきれないほどの見所がたくさん。
それほど職人さんたちが、丹精込めて作ったお宅でした。

 

古いものを壊すのは、簡単なこと。
古いものを活かすのは、手間のかかること。
でも、それだけの価値があると再認識ました。

 

【藍住空間プランラング】の奥村さん、設計士の小倉さんありがとうございました。

m(__)m

 

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〜 aibonより感想 〜

 

「古民家」といっても、
今流行のレストランとかカフェではなく、
正真正銘の住むためのおうちです。

 

「使える部材は出来るだけ使う」

 

玄関の階段を再利用した下駄箱、障子を使った照明、
千鳥柄がアクセントになった台所収納など・・・。
古いものと新しいものがいい具合に溶け込んでおり、
面白いコントラストを生み出していました。

 

改築したおかげか、木も元気を取り戻したらしく、
天井から松やにが染み出していました。
70年も前の木が呼吸をしているんですね。
生きた素材と暮らすなんて、素敵じゃないですか!

 

施主さんも職人さんも、愛情と熱意を持って家づくりに取り組んだ事が
とっても伝わる味わいのあるお家でした。
古い家に新しい命が注ぎ込まれる・・・
そんな言葉がふと頭に浮かび、家路に着いたのでした。

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