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【相談メール】

  今、検討中の建築家さんは、
 リビングに必ず「木製建具」を取り入れているようです。
 デザイン性がいいのはわかるのですが、
 耐久性やメンテナンスの頻度、結露、寒さなど、
 機能面はどうなのでしょうか。

 アルミサッシに比べかなり高価だとも聞きます。
 多くの予算を建具に取られてしまうことも気になりますが
 価格に見合った「木製建具」の良さがあれば
 取り入れることもありかな。。とも思います。
 身近に木製建具を使用している人がいないので、
 使用感かわからず、迷っています。
 「木製建具」の経年変化、
 また、デザイン性以外のメリットがあれば、
 お聞かせ願えると嬉しいです。

【プロの方からの回答】

私も木製建具を採用する事がありますが、その建築家さんも、たぶん明確な意図があってそうされるのだと思います。
まずは、その意図を納得いくまで聞いてみるのが大切かと思います。
それと心配な点についての考え方を聞いてください。(相談前でしたら相談した時に)
そしてあなたが求めるのは何か?デザイン?空間?機能性?耐久性?
絶対嫌なのに“必ず「木製建具」”ということはないと思いますが、そこが建築家さんの妥協できないポイントかもしれませんし・・・
 
それでは、設計者の意図を承知しない上で独断で回答いたします。
 
〇デザイン性
既製品のアルミサッシとの比較ということからすると、設計の自由度が格段に違います。
開口部を全開放にして建具が隠れるようにしたり、建具の材質自体を楽しんだり・・・
オリジナルなデザインにした時に製作しやすいのは木製建具です。(鉄・ステンレス等でも製作可能)
 
〇耐久性
アルミサッシと木製建具とどちらが長持ちするか?ということをお知りになりたいのだと思いますが、 残念ながら“一発解決”の回答は出来ません。
木製であれば使う木材の種類にもよりますし(檜・ひば等・その他、耐久性のある樹種はいくらでもあります)、雨の掛かり具合に左右されます。
木製建具の場合の軒は出来るだけ多く出ていた方が安心です。(防風時用に雨戸は必要)
軒が出ていない家であれば、アルミサッシのほうが水密性が高いので安心です。(雨漏りしにくい)
オリジナルの木製でもそのあたりを詳細に設計・検討すれば、性能はある程度高められます。
  
〇メンテナンス頻度
木製で塗装が施してある場合は、塗装の種類に応じて塗り替えが必要です。(しなくても腐らなければ良い)
引き違い戸の場合、アルミサッシも木製サッシも戸車が真っ先に悪くなります。このあたりの取り換えは経年において必要です。
ドアなどのラッチ・レバーハンドル等、製造打ち切り後部品がなくなるメーカー品だと即・取り換えとなりますが、木製なら都度、既成の金物で対応することは可能です。
その場合木部が劣化しなければ、ある程度長期的メンテナンスも可能といえます。
木製の場合、新築時はなじむまで調整が必要。(1年目までと3年目ぐらい)
 
〇結露
結露のしやすさは圧倒的にアルミのが高い。(サッシには樹脂製等もある)
ガラス面の結露はガラスの性能によります。(アルミ・木製の枠部分と分けて考えてください)
 
〇寒さ
引き違い戸ならメーカーサッシの方が気密性が高いと思いますので、隙間風はないでしょう。
アルミの方が熱が伝わりやすいので、枠は冷たくなります。
木製でも「モヘヤ」や「気密パッキン」等で隙間風をなくすことは可能です。使用場所や暖房方法に根本的な問題が無ければ、隙間風が多くて寒いということは少ないと思います。(メーカー等のように試験しないので、いい加減に作ったら怪しいですが・・・)
 
〇価格
市販の単体サッシの規格品(標準的製品)と同じ開口の仕方(引き違い・開き等)であれば、同額~3割り増し程度で可能ではないでしょうか。(やはり樹種・納まりによります)
特殊な引き込み等、アルミサッシ規格品と単純に比較できないものもありますが、特殊なことをアルミやステンレスでやれば、木製建具以上に掛かるかもしれません。
 
 
※「結局どっちなの?」と言われそうですが、「雨仕舞い等がしっかりしていれば、木製の方がアルミと比較するに値しないほど、質感等が良いと思いますが・・・」
エコな観点からすると、アルミの製造時の使用エネルギーは木材の150倍ほどあります。
 
それでは、こんなところでお許しいただきたいと思います。

耐久性やメンテナンスの頻度については

サッシを木製にされるということは、外壁部でも木製仕上げにされる可能性がたかそうですね。
ウッドデッキもそうなのですが、やはり最低でも1年に1回程度は、防腐剤入りの塗料を
塗るなどのメンテナンスは必要だと思います。

 

結露、寒さなどについては
結露は最近冬季だけのものだと思われがちですが、最近はエアコンの普及により
夏季についても発生しているようです。
温度損失は、サッシ部ではなくガラス部分で起きているほうが多いので、
木製だからアルミ製だからではなく、ガラスの種類を検討されればどちらも変わらないものだと思います。
たとえペアガラスのアルミ製サッシを入れても、結露が発生しなくなることはなく、しにくくなるというものです。

 

アルミサッシに比べかなり高価だとも聞きます。についてですが、
サッシメーカーや、サッシ種類などで金額も違いますし、
その建設会社さんの取引サッシ屋さんでも異なるものだと思います。
一概に高価とは言い切れないと思いますので、
見積段階で、アルミ製と木製の差額を出してもらうというのはどうでしょうか。

 

「木製建具」のデザイン性以外のメリットとしては木の肌触りがあたたかく感じ、使えば使うほど美しくなる自然素材を使っていることでしょうね。
日本では人と物との触れあいの深さが独自の文化を育てました。素足の感触という言葉であらわされる膚(肌)と畳との関係、さわったり寄りかかったりする木の柱、これは日本人独自のものですが。住まわれる方が「触れる素材」としての「木」に魅力を感じられるかどうかだと思います。

 


(minamiの感想)

皆さんの回答を読んで、少し木製建具に対しての考えが変わりました。

デザイン性だけで木製建具を選択しているわけではないのですね。

日本の気候に合わせたカタチ(例えば軒を深くするとか、、、)の住まいにすると

かなりメンテナンスも違ってくるのでしょう。

コスト面においても、何にお金をかけたいのかをじっくり考えていくと選択肢も絞られてきそうです。

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