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「我輩は施主である。

家はまだない。

これから建てる。」

という1文から始まる。

これは、何処かで見覚えがある文章やな・・・

と思いつつ進んでいくと

なぜだか

今までの住まい関係の本とは違った

スラスラ感で、読めてしまう。

これはもしや小説???

(しまった!!!)

しかし、何かしらリアルな感じ。

「タンポポハウス」「ニラハウス」「F森教授」「M伸坊」

・・・聞いたことあるし。

あとがきを先に読んでみると

「この小説はフィクションであり、

実際の人物、団体とは何の関係もありません。

とはいうものの、建築探偵の藤森照信さんが、

このたび日本芸術大賞をもらってしまった。」

などと告白している。

要は、現実の建物はノンフィクションだけど

文中の会話などがフィクションということなんでしょう。

登場人物もかなり個性的。

縄文人のような設計のF森教授

ロイヤル不動産のオペラの婦人

駅前の不動産屋のY田の親分

・・・勝手に、あだ名を付ける所も「坊ちゃん」そっくり

(;O;)

家もかなりの個性派で、

屋根に「ニラ」を植えてしまう!!!

なんて事になるわけです。

ちょっと想像できないでしょうが、

そういう風景を全部文章で表現しているところが

またスゴイ!

すまい本によくある写真や図解説明は一切なし。

文章だけで、想像出来ちゃうのです。

どこまで本気でどこからが嘘なのか

よくわからない教授と

施主のやり取りも笑えます。

なにより経費節減といいながら

丸太削りに本気になったり

ニラを植えたり。。。

どこか楽しそうな施主本です。

屋根のニラとたぶん超個性的な茶室の写真を

一度見てみたい!

教授宅の「タンポポハウスが出来るまで」という本にも興味が湧きました。

「我輩は施主である」

赤瀬川原平【著】

読売新聞社【出版】

1500円【価格】

1997/8【発行】

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