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【BOOK】「我輩は施主である」★★★☆☆

「我輩は施主である。
家はまだない。
これから建てる。」
という1文から始まる。
これは、何処かで見覚えがある文章やな・・・
と思いつつ進んでいくと
なぜだか
今までの住まい関係の本とは違った
スラスラ感で、読めてしまう。
これはもしや小説???
(しまった!!!)
しかし、何かしらリアルな感じ。
「タンポポハウス」「ニラハウス」「F森教授」「M伸坊」
・・・聞いたことあるし。
あとがきを先に読んでみると
「この小説はフィクションであり、
実際の人物、団体とは何の関係もありません。
とはいうものの、建築探偵の藤森照信さんが、
このたび日本芸術大賞をもらってしまった。」
などと告白している。
要は、現実の建物はノンフィクションだけど
文中の会話などがフィクションということなんでしょう。
登場人物もかなり個性的。
縄文人のような設計のF森教授
ロイヤル不動産のオペラの婦人
駅前の不動産屋のY田の親分
・・・勝手に、あだ名を付ける所も「坊ちゃん」そっくり
(;O;)
家もかなりの個性派で、
屋根に「ニラ」を植えてしまう!!!
なんて事になるわけです。
ちょっと想像できないでしょうが、
そういう風景を全部文章で表現しているところが
またスゴイ!
すまい本によくある写真や図解説明は一切なし。
文章だけで、想像出来ちゃうのです。
どこまで本気でどこからが嘘なのか
よくわからない教授と
施主のやり取りも笑えます。
なにより経費節減といいながら
丸太削りに本気になったり
ニラを植えたり。。。
どこか楽しそうな施主本です。
屋根のニラとたぶん超個性的な茶室の写真を
一度見てみたい!
教授宅の「タンポポハウスが出来るまで」という本にも興味が湧きました。
「我輩は施主である」
赤瀬川原平【著】
読売新聞社【出版】
1500円【価格】
1997/8【発行】